【相談事例】古い名義の不動産を含む相続整理
- 2026.10.13
叔父が亡くなったものの、子どもがおらず、兄弟姉妹や亡くなった兄弟の子どもまで相続人となるうえ、不動産には祖父など古い名義も残っていました。
本件では、相続人調査と遺産分割協議を進め、特定の相続人へ財産をまとめるための手続を整理しました。
依頼者の属性
氏名:佐藤さん(仮名)
住所:日立市
性別:男性
年齢:非公表
争点
相続人調査
相続人への連絡
遺産分割協議
遺産の範囲
分割方法
ご相談の背景
佐藤さんから、亡くなった叔父の相続についてご相談がありました。
叔父にはすでに配偶者がおらず、子どももいませんでした。
そのため、相続人は叔父の兄弟姉妹が中心となりますが、兄弟の中にはすでに亡くなっている方もいました。
兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、その子どもが代襲相続人となることがあります。
今回も、亡くなった兄弟に娘が2人いたため、単純に「現在生きている兄弟姉妹だけで話をすればよい」という状況ではありませんでした。
ご家族としては、叔父が生前住んでいた地域に住み、これまでも墓地や家族のことを事実上管理してきた佐藤さんのお母様に、不動産などをまとめたいという意向がありました。
現在生存している姉も、その方向でよいとの考えを持っているとのことでした。
しかし、相続関係を確認すると、亡くなった兄弟の娘2人についても相続人として手続に参加してもらう必要がある可能性が判明しました。
さらに問題となったのが、不動産の名義です。
叔父が住んでいた土地や建物を調べたところ、すべてが叔父名義になっているわけではなく、祖父と思われる方など、以前の世代の名義が残っている不動産がありました。
中には登記されていない可能性のある建物もあり、単純な一回の相続手続では終わらない状態でした。
また、郵便局や農協に預貯金があり、死亡によって取引が停止されていました。
生命保険についても、叔父本人が受取人となっているものと、お母様が受取人として指定されているものがあり、それぞれどのように扱われるのかについて相談がありました。
弁護士の対応
まず、叔父の相続について、誰が相続人になるのかを整理しました。
叔父に子どもがいない場合には、一定の条件のもとで兄弟姉妹が相続人となります。
さらに、兄弟姉妹の一人が叔父より先に亡くなっている場合には、その子どもが代襲相続人となることがあります。
今回の家族関係を確認した結果、現在生存している叔父の姉と佐藤さんのお母様だけでなく、すでに亡くなっている兄弟の娘2人についても、相続手続に参加してもらう必要があると考えられました。
そこで、まずはご親族同士で、
「墓地なども含め、今後管理していく必要があるため、お母様に財産をまとめる方向で進めたい」
という話をしてもらうことをご提案しました。
最初から弁護士名で連絡しない方法を提案
相続人への連絡は、方法によっては相手方を必要以上に警戒させてしまうことがあります。
突然弁護士から連絡が来ると、
「何か争いになっているのではないか」
「裁判を起こされるのではないか」
と受け取られてしまうこともあります。
今回のご家族は、現時点では大きな争いが生じているわけではありませんでした。
そこで、まずは佐藤さんとお母様から親族へ事情を説明し、
「手続が複雑なので専門家に依頼する予定であり、必要な書類について後ほど連絡がある」
という形で了承を得ておく方法をご案内しました。
親族全員が、お母様に財産をまとめることに納得すれば、その後は遺産分割協議書など必要な書類を作成し、署名・実印での押印と印鑑証明書を準備していただくことになります。
代襲相続人の戸籍も確認
今回の相続では、亡くなった兄弟の娘2人についても確認が必要でした。
そのため、叔父本人の戸籍だけでなく、現在生存している兄弟姉妹や、代襲相続人となる可能性のある娘2人についても戸籍を取得し、正確な相続関係を確認していくことにしました。
相続手続では、家族が把握している親族関係と、戸籍上の法律関係が必ずしも一致するとは限りません。
そのため、最終的には戸籍をたどって相続人を確定させることが重要です。
古い名義の不動産についても別途相続関係を整理
不動産を調べると、叔父本人ではなく、さらに前の世代の名義になっている土地がありました。
その場合、叔父の相続だけを処理しても現在の名義に変更できるとは限りません。
以前の名義人について、誰が相続人であったのかを確認し、過去の相続を順番に整理する必要があります。
今回も、叔父本人の相続と、古い名義人の相続について、それぞれ相続関係を確認しながら手続を進める方針となりました。
また、登記されていない可能性のある建物についても、市役所の固定資産関係資料などを確認しながら、司法書士とも連携して対応する必要があることをご説明しました。
預貯金と生命保険を分けて整理
郵便局や農協の預貯金については、基本的に相続財産として遺産分割の対象となります。
一方、生命保険金は、契約内容や受取人の指定によって扱いが異なるため、預貯金と同じようには処理できません。
お母様が死亡保険金受取人として明確に指定されている契約については、原則として、その契約内容に従ってお母様が受け取ることを前提に確認することになります。
他方、叔父本人が受取人となっていた保険については、保険契約の約款などを確認し、誰が請求できるのかを保険会社に確認しながら手続する必要があります。
そのため、
「預貯金などの遺産分割」と「生命保険金の請求」は別の問題として整理する
ことをご説明しました。
結果
今回の相談によって、佐藤さんは、
「叔父の姉と自分の母だけで手続をすればよい」
という状況ではなく、亡くなった兄弟の娘2人も含めて相続関係を確認する必要があることを理解されました。
また、不動産についても、叔父名義の財産だけではなく、以前の世代の名義が残っているため、複数の相続を整理する必要があることが明確になりました。
今後は、まず親族間で、
「お母様に不動産や預貯金などをまとめる方向で進める」
という意向を確認します。
そのうえで、必要な戸籍、印鑑証明書などを準備し、専門家が遺産分割協議書などを作成して、預貯金の解約や名義変更を進めていくことになりました。
不動産登記については司法書士とも連携し、古い名義の不動産を含めて整理していく方針です。
もし親族全員が同意すれば、裁判所を利用することなく、書類による遺産分割協議で手続を進められる可能性があります。
一方、誰かが反対した場合には、遺産分割交渉や家庭裁判所での遺産分割調停も検討する必要があることをご説明しました。
相談前には、
「誰にハンコをもらえばよいのか」
「古い土地の名義をどうすればよいのか」
「保険も全部同じように分けるのか」
など多くの疑問がありましたが、今回の相談によって、必要となる手続の順番が整理されました。
弁護士所感
子どものいない方が亡くなった場合、相続関係は思っている以上に複雑になることがあります。
兄弟姉妹が相続人となるケースでは、その兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば、その子どもまで相続関係を確認しなければならない場合があります。
特に注意したいのが、古い不動産です。
地方では、
「祖父の代からずっと家族が使っているので、当然現在の家族の名義だと思っていた」
という土地や建物が、実際には何十年も前の名義のまま残っていることがあります。
このような不動産については、現在亡くなった方の相続だけではなく、それ以前の世代の相続から順番に整理しなければならないことがあります。
また、家族全員が同じ方向を向いているのであれば、最初から裁判や交渉を始める必要はありません。
親族同士で、
「誰が不動産を管理していくのか」
「誰に財産をまとめるのが現実的なのか」
を確認したうえで、専門家が必要な書類を整えることで、比較的円滑に手続を進められるケースもあります。
一方、一人でも反対する相続人がいる場合には、遺産分割協議だけでは解決できず、弁護士による交渉や遺産分割調停が必要になる可能性があります。
相続では、まず正確な相続人と財産の範囲を確認することが重要です。
「親族関係が複雑で誰に連絡すればよいか分からない」
「昔の名義の土地が残っている」
「相続人は納得しているが、書類の作り方が分からない」
という場合には、早い段階で専門家へ相談することで、必要な手続を整理し、余計な親族間トラブルを避けながら進められる可能性があります。
おわりに:お気軽にご相談ください
相続手続は、相続人が多い場合や、古い不動産名義が残っている場合には、戸籍の確認や遺産分割協議、預貯金の解約、不動産登記など複数の手続が必要になります。
みとみらい法律事務所では、水戸市、ひたちなか市、那珂市、東海村などを中心に、相続人調査、遺産分割協議、相続人への連絡などの相続問題に対応しています。
「相続人が誰なのか分からない」
「親や祖父の名義の土地が残っている」
「親族間では話がまとまっているので、手続だけ専門家に任せたい」
といった場合も、お気軽にご相談ください。























