突然発覚した“負の遺産”…相続放棄は今からでも間に合う?
- 2026.05.05
依頼者情報の整理
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相談者
- 小林さん 男性(仮名) ひたちなか市
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家族関係
- 被相続人①:祖母(令和5年9月死亡)
- 被相続人②:父母(数年前に死亡)
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親族
- 叔父(祖母と同居・現在破産手続中)
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相続人
- 相談者と妹(代襲相続)
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財産状況
- 建物(借地上・解体費用が必要) 約300万円
- 未払い賃料相当の損害金 約60万円
- その他不明確な財産 プラスの財産なし。
- →全体として「負債超過の可能性」
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現状
- 最近になって叔父の破産管財人から遺産の存在を知らされる
- 相続放棄の申述を家庭裁判所に提出済み
相談者の背景事情(モノローグ)
「父母が亡くなったときには、特に祖母の遺産の話は出ていませんでした。ところが最近になって、叔父の破産管財人から『実は遺産がある』と連絡がありました。
ただ、その内容を聞くと、借地上の建物の解体費用や未払いの賃料など、いわゆる“負の遺産”ばかりで、とても相続したいと思えるものではありませんでした。
しかも叔父はすでに自己破産の手続きに入っていて、その過程で祖母の遺産が発覚したようです。このままでは自分たちに負担が回ってくるのではないかと不安になり、急いで相続放棄の手続きを進めました。
ただ、自分で申述書を提出したものの、不備がないか、今後どう進むのかが分からず、特に近々海外出張も控えているため、対応できるか不安で相談しました。」
質問と回答(Q&A形式)
質問①
「相続放棄の申述書を提出しましたが、この後はどのような流れになりますか?」
回答
提出後、家庭裁判所で内容の審査が行われます。
問題がなければ「受理通知」が届きますが、別途「相続放棄受理証明書」を申請して取得する必要があります。
もし内容に不明点がある場合は「照会書(追加質問)」が届き、それに回答することで判断が行われます。
質問②
「両親の死亡から時間が経っていますが、相続放棄は認められますか?」
回答
原則として相続放棄は「相続の開始を知ってから3か月以内」に行う必要があります。
ただし、本件のように「最近になって初めて負債の存在を知った」という事情があれば、例外的に認められる可能性があります。
そのため、申述書では「知らなかった経緯」を具体的に説明することが重要です。
質問③
「出張で不在の間に裁判所から連絡が来た場合、どう対応すればよいですか?」
回答
裁判所からの照会や補正依頼には期限が設けられる場合がありますが、事情を説明すれば一定期間待ってもらえるのが通常です。
不在中に書面が届いた場合は、電話で事情(出張等)を伝えれば柔軟に対応してもらえることが多く、直ちに不利益が生じることは基本的にありません。
アドバイスの要点整理
- 相続放棄は「受理通知」だけでなく証明書の取得が必要
- 内容に不備がある場合は「照会書」が届く
- 3か月経過後でも「知らなかった事情」があれば認められる可能性あり
- 放棄すると次順位の相続人に権利が移る可能性がある
- 負の遺産は早期に把握し、対応方針を決めることが重要
弁護士の所感(結論)
本件は、「相続の存在を後から知った」ことにより、相続放棄の可否が問題となる典型例です。実務上、このようなケースでは「いつ・どのように遺産の存在を知ったか」が極めて重要な判断要素となります。
特に負債が中心の相続では、放棄のタイミングを誤ると多額の負担を負うリスクがあります。本件のように、自己破産手続の調査の過程で遺産が発覚するケースもあり、突然の対応を迫られることも少なくありません。
また、家庭裁判所の手続は一見シンプルに見えても、照会対応や証明書取得など細かな対応が必要となるため、不安がある場合は専門家の関与が有効です。
本事例から学ぶべきポイントは、「相続は“知らなかった”では済まされないが、適切に主張すれば救済される可能性がある」という点です。
同様に、突然の負の遺産でお困りの方は、早めに弁護士へご相談ください。























