48年前の相続放棄はできる?固定資産税の請求が突然届いたケース
- 2026.05.05
依頼者情報の整理
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相談者
- 田中さん(仮名) 女性 40代 ひたちなか市
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被相続人
- 父(約48年前に死亡)
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相続人
- 相談者
- 姉
- 甥姪(既に死亡した兄弟あり ※その子らが代襲相続人)
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関係者
- 父の先妻の子(当該不動産に居住していたが現在は不在・一部行方不明)
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財産内容
- 不動産(土地・建物)
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問題状況
- 長年放置されていた不動産の固定資産税が滞納
- 相談者が一部支払いを行ってしまった
- 市役所から「相続人代表」として請求が継続
- 支払い困難となり、相続放棄を検討
相談者の背景事情(モノローグ)
「父が亡くなったのは今から48年も前のことです。当時は相続について深く考えることもなく、そのままになっていました。
その後、父名義の家には先妻の子どもたちが住んでいたため、自分たちが関わることはありませんでした。
ところが最近になって、その家が荒れた状態になっているのを見つけ、さらに固定資産税の滞納があることが分かりました。
市役所に相談したところ、相続人として支払う必要があると言われ、やむを得ず一部を分割で支払ってきました。しかし、現在は生活も厳しく、これ以上の支払いはできません。
そこで、今からでも相続放棄ができないかと思い、相談に来ました。」
質問と回答(Q&A形式)
質問①
「父が亡くなってから48年経っていますが、今から相続放棄はできますか?」
回答
原則としてできません。
相続放棄は「相続の開始を知ってから3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。
本件のように、死亡の事実を当時認識していた場合、48年後の放棄は極めて難しいです。例外的に、相続財産や負債の存在を後から初めて知った場合には認められる可能性もありますが、ハードルは高いといえます。
質問②
「固定資産税を支払ってしまったことは影響しますか?」
回答
影響します。
相続財産に関する債務(固定資産税など)を支払う行為は、「相続を承認した」と評価される可能性があります。
これを「単純承認」といい、一度成立すると相続放棄はできなくなります。
そのため、本件では既に相続を受け入れたと判断されるリスクが高いです。
質問③
「今後、支払いができない場合はどうなりますか?」
回答
固定資産税は公租公課であるため、未払いが続くと差押えなどの強制執行の対象となる可能性があります。
ただし、実際の対応は個々の生活状況によります。支払いが困難である場合には、市役所に事情を説明し、分納や減免の相談を行うことが重要です。
また、他の相続人にも負担を求めるなど、遺産分割の問題として整理する必要があります。
アドバイスの要点整理
- 相続放棄は原則「3か月以内」が期限
- 長期間経過後の放棄は極めて困難
- 固定資産税の支払いは「単純承認」と評価される可能性あり
- 一度承認すると相続放棄は不可
- 支払い困難な場合は行政へ相談(分納・減免)
- 他の相続人との遺産分割協議が必要
- 行方不明者がいる場合は手続が複雑化(不在者財産管理人等)
弁護士の所感(結論)
本件は、「相続の長期放置」が引き起こす典型的なトラブルです。問題がないと放置して相続の話し合いをしていないため、未分割のまま財産が残ってしまっている場合があります。特に、不動産が絡む場合、固定資産税の負担が継続的に発生するため、後年になって問題が顕在化するケースが少なくありません。
相続放棄には厳格な期限があり、「知らなかった」では済まされない場面が多いのが実務です。また、軽い気持ちで行った支払いが、結果として「相続を承認した」と評価されてしまう点も注意が必要です。
本件のような場合、相続放棄による解決は難しく、現実的には
- 他の相続人との協議
- 行政との支払い調整
- 不動産の処分検討
といった対応が中心となります。
重要な教訓は、「相続は放置しないこと」です。特に不動産がある場合には、早期に名義変更や整理、相続放棄手続を行うことで、将来の大きな負担を回避できます。
同様の問題でお悩みの方は、早めに専門家へご相談ください。























