子どもがいない高齢夫婦…認知症と相続に備える生前対策とは?
- 2026.05.05
依頼者情報の整理
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相談者
- 小林さんご夫婦(仮名 80歳前後) 水戸市
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家族関係
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子ども
- なし
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兄弟姉妹
- いるが高齢・遠方在住
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財産状況
- 預貯金・自宅等(詳細不明)
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主な不安
- 認知症になった場合の財産管理
- 死後の手続き(葬儀・納骨など)
- 相続人が分散することによるトラブル
相談者の背景事情(モノローグ)
「私たち夫婦は、80歳前後で、お子さんがいらっしゃいません。
兄弟はいるものの、年齢も高く遠方に住んでいるため、いざという時に頼れる人が近くにいない状況です。
特に心配しているのは、どちらかが認知症になった場合の財産管理や、亡くなった後の葬儀・手続きのことです。
『何かあった時にどうしたらいいのか分からない』『誰に任せればいいのか不安』なので、生前にできる対策について相談したいと思い来ました。」
質問と回答(Q&A形式)
質問①
「子どもがいない場合、何もしないと相続はどうなりますか?」
回答
配偶者がいる場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
割合としては配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。そのため、何も対策をしないと、配偶者だけでなく遠方の兄弟姉妹や甥・姪も関与することになり、手続きが煩雑になる可能性があります。
これを避けるためには、遺言書を作成し「すべて配偶者に相続させる」と明確にしておくことが重要です。
質問②
「認知症になった場合の財産管理はどうすればよいですか?」
回答
認知症になり判断能力が低下すると、預金の引き出しや契約行為ができなくなります。
その場合、家庭裁判所で成年後見人を選任する必要がありますが、第三者(弁護士など)が選ばれることが多く、費用も継続的に発生します。
そのため、事前に信頼できる人を指定しておく「任意後見契約」を利用することが有効です。これにより、自分の意思で将来の財産管理者を決めておくことができます。
質問③
「亡くなった後の葬儀や手続きも事前に任せることはできますか?」
回答
可能です。「死後事務委任契約」を利用することで、葬儀の方法、納骨、各種手続きなどを事前に第三者へ依頼することができます。
任意後見契約は生前のみ有効ですが、死後の対応ができません。そのため別契約となります。
両方を組み合わせて準備しておくことが重要です。特に身寄りが少ない方にとっては、安心して生活するための有効な手段となります。
アドバイスの要点整理
- 子どもがいない場合、兄弟姉妹も相続人になる
- 遺言書で配偶者に集中させる対策が重要
- 認知症になると財産管理が困難になる
- 法定後見は第三者が関与し費用負担が大きい
- 任意後見契約で信頼できる人を事前に指定可能
- 死後の手続きは「死後事務委任契約」で対応
- 生前対策は「元気なうち」にしかできない
弁護士の所感(結論)
本件は、「お子さんがいない高齢夫婦」に特有のリスクが顕在化する前段階の非常に重要な相談です。
相続対策というと「亡くなった後」の話に目が向きがちですが、実務上より深刻なのは「認知症による判断能力の低下」です。この段階に入ると、適切な対策を新たに取ることが難しくなり、結果として法定後見制度に頼らざるを得なくなります。
また、身近に頼れる親族がいない場合、葬儀や各種手続きを誰が行うのかという問題も現実的な課題となります。
そのため、本事例のようなケースでは、
- 遺言書(相続対策)
- 任意後見契約(認知症対策)
- 死後事務委任契約(死後対応)
を三位一体で準備することが極めて重要です。
特に重要なのは、「判断能力があるうちに行動すること」です。
少しでも不安を感じた段階で準備を始めることが、将来の安心につながります。
同様のお悩みをお持ちの方は、ぜひ早めに専門家へご相談ください。























