相続人が行方不明・生死不明の場合にどうする?
- 2024.07.29
遺産分割協議は相続人全員で行わなければならない
遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。相続人が1人でもかけているとその遺産分割協議は無効です。
たとえば、相続人の中に行方不明の人がいると、その遺産分割協議は無効になります。遺産分割協議ができないと、相続人は遺産を受け取ることができません。相続税の申告が間に合わないなどのリスクがあります。
相続人が「誰かがわからない」
遺産分割協議を行おうとしても、誰が相続人かわからない場合があります。
このような場合、まずは誰が相続人であるかを調べなければなりません。調査を行い、相続人を確定させる必要があります。相続人調査では、故人が生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本を取得していきます。これにより、誰が相続人かが明確になります。
相続人の「住所」がわからない
相続人が誰かがわかっていても、その相続人と連絡が取れない場合もあります。
例えば、その相続人がどこに住んでいるのか住所がわからない、連絡先がわからない、音信不通などです。このような場合には、相続人の住所や連絡先を調査する必要があります。
相続人の住所がどこかわからない場合は、「戸籍の附票」を調べます。戸籍の附票には本籍地と一緒に住所も記載されています。これを取得することで住所がわかります。
相続人が「行方不明」「音信不通」
住所が判明した場合には、まずはその住所に手紙を送ってみましょう。
郵便が「転居先不明」や「宛先不明」などで返送されてきた場合、相続人はその住所に住んでいない可能性があります。
しかし、「受取拒否」の場合、そこに住んでいる可能性が高いといえます。何度か手紙を送ってみるか、あるいは直接訪ねてみてください。
直接現地を訪ねる場合ですが、そこに表札がかかっているか、また、隣近所の人に聞いてみましょう。そのような情報から住んでいるかどうかを判断します。
実際の居住地が不明で連絡が取れない場合、探偵事務所や興信所を利用しての調査もありますが、調査費用が数十万円程度かかり、加えて、調査を依頼しても必ず居住地が明らかになる保障もありませんので、検討が必要です。
相続人が「生死不明」の場合の対応方法
相続人の生死が不明な場合があります。この場合に、生死不明の期間が「7年以内」か「7年以上」かによって対応が別れます。
(1)生死不明が7年以内の場合
まずは警察署に行き、捜索願を出します。行方不明者がどこかで事件に巻き込まれている場合には、警察から連絡を受けることができます。しかし、具体的な事件が起こっていない限り、連絡はありません。
相続人の生死が不明の場合には、家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理するためのもので、重要な財産がある場合や遺産分割協議を行う必要がある場合に選任されます。この不在者財産管理人を相手に遺産分割協議を行うことになります。
(2)生死不明が7年以上の場合
相続人が行方不明となってから7年以上経過している場合には、家庭裁判所へ「失踪宣告」を申し立てます。失踪宣告は、行方不明者を「死亡」とみなす手続です。死亡ですから、当事者ではなくなります。申立から失踪宣告まで約1年程度かかります。
6 行方不明・音信不通の相続人がいるときの対策
行方不明や音信不通の相続人がいる場合には、遺産分割協議が必要となり、そのためいろいろと面倒な手続をとらなければならなくなります。
そこで、行方不明や音信不通の相続人がいる場合には、遺言書を作成することをおすすめします。遺言書があれば、相続人全員で遺産分割協議を行う必要がなくなり、相続人調査や不在者財産管理人の選任、失踪宣告の手続きも不要になります。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、最も信頼性が高くおすすめなのは「公正証書遺言」です。自筆証書遺言に比べて、公正証書遺言は、公証人が作成するため、形式不備による無効リスクがほとんどありません。また、原本を公証役場で保管してもらえるため、紛失や改ざんリスクもありません。費用はかかっても、公正証書遺言をお勧めいたします。
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