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生前贈与と遺留分に関する相談事例

2025.01.15

依頼者情報の整理 

氏名:小林さん(仮名) 
住所: 茨城県ひたちなか市 
年齢: 70 
家族関係: 被相続人は父。相続人は小林さん、弟の洋さん、妹の久子さん(仮名)。 

 相談者の背景事情

「父が昨年6月に、亡くなり、遺産分割について弟や妹との話し合いが難航しています。

父には公正証書遺言があります。父の遺言書には、不動産を弟に相続させる、また、預金を私と弟で2分の1ずつ分けるとあります。妹には生前に十分な財産を贈与しているので、今回は、相続させるものは遺言書の記載内容を無視して、3人で平等に分けようと強硬に言ってきています。毎日、LINEで攻撃されて精神的にまいっています。眠れません。また、父は生前に、後を継ぐお前のためにと言って、不動産や父の会社の株式を含む生前贈与をしてくれました。たぶん、揉めると妹や弟は、生前贈与のことを言って、それを返せと言ってくるでしょう。税金の申告期限もだんだんと迫っており、どうしていいかわからなくなり、先生に助けを求めました。」 

質問と回答 

  1. 質問: 「父が私に生前に贈与した不動産や株式は、相続財産に含まれますか?」

   回答: 「相続財産は、相続開始時(死亡時)にお父さん名義の財産であったものと考えてください。ですので、生前の贈与は相続財産ではありません。しかし、場合によってはその生前贈与を「持ち戻す」ことになります。今回は、妹さんがまったく財産をもらえないことになっているので、妹さんに遺留分侵害請求権が発生する可能性があります。遺留分の計算をする際に、相続開始前の10年以内の生前贈与は、遺留分の計算対象と考えます。ですので、その生前贈与の時期がいつかを調べてみましょう。もし、10年以内であれば、遺留分の計算に含まれることになるでしょう。」 

 

  1. 質問: 「今回の件について、妹から遺留分侵害額請求を受けた場合、どのように対応すればよいですか?」

   回答: 「遺留分侵害額請求は、知った時から1年以内に申し立てる必要があります。おそらく請求してくる可能性が高いと思います。遺留分侵害額請求がなされると、遺留分の金額を現金で支払う必要があります。それが支払えるかを検討しましょう。遺留分の割合は、妹さんは6分の1です。遺留分の額を算出するためには、相続財産の目録、そして生前贈与の目録を整理し、それぞれに金額を入れていきます。表を作成しながら計算をするとよいでしょう。もし、不動産や株式(中小企業)がそこに含まれているなら、評価が問題となってきます。評価を専門家と進めることをお勧めします。」 

 

  1. 質問: 「遺留分侵害請求への対応、その他、弟や妹たちとの連絡や交渉を弁護士に依頼できますか?」

   回答: 「遺留分は専門的な知識が必要なので、遺留分を得意とする弁護士に依頼することをお勧めします。また、直接、家族で話し合うと、感情的になってしまい、ストレスが強くなります。その意味でも、弁護士に代理人として入ってもらうことはベストな選択だとお思います。」 

 

 アドバイスの要点を整理 

資産のリストの作成と、財産評価

特に生前贈与時期の確認。 

遺留分請求に備えた資産目録の作成と、遺留分額の算定  

相続税申告のために税理士との連携。 

 

弁護士所感 

今回の事例では、生前贈与や遺言書を作成すると財産をもらえない相続人の遺留分侵害となる可能性があることの理解が不足していました。そのため、遺留分侵害請求をされることは間違いない状況です。このような場合は、専門家を依頼して、今後の対応を考えるべきです。一般の方がいろいろと考えてみても、遺留分の仕組みが複雑すぎて、混乱し、また、他の相続人との交渉もストレスがたまります。既に不眠を訴えておられることからも、今後は弁護士に依頼して、交渉を任せることがベストの選択です。

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