中小企業オーナーの遺産分割、円満な代償金解決
- 2025.04.23

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本件は、中小企業のオーナー経営者が亡くなった後の遺産分割において、株式の評価や代償金の支払いをめぐる交渉が行われた事例です。
弁護士同士が冷静に協議を進めたことで、スムーズな解決を実現し、依頼者にとって有利な条件で遺産分割が成立しました。-
依頼者の属性
氏名
小林実さん(仮名)、田中佳代さん(仮名)
居住地
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水戸市
性別・年齢
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男性(50代)・女性 (50代)
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相続人
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配偶者:小林花子さん(仮名)
子:小林実さん(仮名)、田中佳代さん(仮名)
代襲相続人(孫):鈴木一紀さん(仮名)
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争点
・退職金の分配の可否(代襲相続人からの請求)
・自社株式の評価(取引相場のない株式の適正評価)
・車両の評価額(相続税申告書との乖離)
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ご依頼の背景
被相続人である小林一郎さん(仮名、89歳)は、中小企業のオーナー社長であり、生前に会社の経営を担っていました。相続人は以下の4名でした。
配偶者:小林花子さん(仮名)
子:小林実さん(仮名)、田中佳代さん(仮名)
代襲相続人(孫):鈴木一紀さん(仮名)相続が発生した後、代襲相続人である鈴木一紀さん(仮名)の弁護士から遺産分割を求める連絡があり、協議が始まりました。
また、株式の評価額をどのように算定するかが大きな争点となり、交渉を経て適正額を確定することになりました。
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弁護士の対応
自社株式の評価交渉
・相手方は、純資産額を基準として株価を計算するよう主張。
・7000円の株価での計算を求められたが、実際の会社の状況を考慮し、5600円で評価することで合意。
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遺産総額の確定
・プラスの財産(土地・建物・株式・預金・現金など):7000万円
・相続債務:約10万円
・生前贈与(200万円×2名)を考慮し、最終的な遺産額を7300万円と確定。
代償金の支払いによる解決
・代襲相続人の具体的相続分は1200万円と算定し、これで双方納得。
・遺産分割協議ではなく、代償金の支払いによる相続分の譲渡という形式で解決。
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結果
弁護士が介入することで交渉がスムーズに進み、早期解決を実現。
株式の評価額を調整し、依頼者の負担を軽減。
1200万円の代償金を支払うことで相続分を譲渡し、依頼者が遺産を円満に取得。
依頼者は交渉の結果に満足し、交渉による精神的負担を軽減。
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弁護士の所感
今回の交渉のポイントは、自社株式の評価でした。相続時の株価評価は大きな影響を及ぼすため、慎重な交渉が求められます。本件では、弁護士が介入し、株式の評価額を算定したことで、無駄にもめることなくスムーズな解決を実現しました。
中小企業オーナーが学ぶべき教訓
生前に遺言書を作成することが重要
・株式の承継を明確に指定しておけば、相続人間の争いを防げる。
・本件では遺言書がなかったため、代償金1225万円が発生。
・仮に、遺言書で株式を後継者に遺贈していた場合、代償金は約600万円で済んだ可能性あり。
事前の相続対策でコストを抑える
・生前贈与や信託の活用で、経営に関与しない相続人への支払いを抑制可能。
・相続税対策を検討し、不要な税負担を減らすことも重要。
自社株式の評価ルールを理解する
・株式の評価は「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」などがあり、相続時の評価額に大きく影響。
・本件では、相手方の主張よりも低い評価額で決着し、依頼者の負担軽減につながった。
相続対策は専門家へご相談を
中小企業の経営者は、自社株の相続が家族間の争いを引き起こすリスクを常に考慮する必要があります。生前からの適切な相続対策により、相続人間の負担を減らし、スムーズな事業承継を実現することができます。
相続に関するお悩みをお持ちの方は、早めに弁護士に相談することで、最適な解決策を見つけることができます。みとみらい法律事務所へお気軽にご相談ください。
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