亡くなった父の自筆証書遺言書の内容に争いがある中で遺産分割調停を終えた事案
- 2023.06.20
依頼者の属性
ひたちなか市にお住まい 50代 男性
相談背景
父(80代)が死亡。相続人は,ご依頼者と弟の2人。
父の自筆証書遺言があり,それに基づき,1050万円の支払いでの遺産分割を迫られている。相手には弁護士がついている。提案された内容を受け入れなければならないのか。
自筆の遺言書の内容は,半分は手紙のような被相続人の想いが綴られていたが,その中に,法律的に遺産を配分する内容が含まれていた。それは,土地が4筆あり,うち宅地2筆を弟に相続させると読める内容であった。土地の評価額は,約2000万円(うち宅地が1700万円),預貯金の合計が約1800万円の合計3800万円。
相手方弁護士の提案は,宅地部分を除いた遺産を法定相続分で分割する,つまりご依頼者には1050万円を,残りは相手方が取得するとの内容であった。
争点
遺言書に記載された文言をどのように解釈するかが問題となった。
土地が4筆あり,うち宅地2筆を弟に相続させると読める部分を,「弟には,宅地部分を特別に相続させて,残りを相続分で分割する」と読むのか,「相続分は同じであるが,その相続分の取得内容として宅地2筆を指定した」と読むのかが争点となった。
また,不動産の評価額をどのようにみるのかが争点となった。
弁護士の対応
調停において,双方とも「相続分は同じであるが,その相続分の取得内容として宅地2筆を指定した」と読むべきであると主張し,双方譲らずに,遺言書の解釈問題となったので,地方裁判所で判断を示してもらうべきかという展開になった。
結果
しかし,判決となると,どのような判断が下るか見通せない部分があったことに,加えて,解決まで長期化するおそれがあったことため,双方,譲り合い,
最終的には,1400万円で調停を成立させることとした。当初の相手方弁護士の提案よりも約350万円の増額となった。
弁護士所感
自筆証書の文言の解釈問題であり,一般の人には理解することも対応することも難しい面があった。法律家としての力を発揮できたケースであった。自筆の遺言書はトラブルが多いので,作成するときは公正証書遺言にしていただきたい。