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兄弟間でよくある相続トラブルについて弁護士が解説!

はじめに

相続がおこると、家族間で、思っていなかった亀裂が生じてしまうことが少なくありません。特に、相続人が兄弟姉妹の場合には、ちょっとした一言がきっかけで感情的な対立になってしまうことがあります。

近年、日本では核家族化や少子化、価値観の多様化が進み、兄弟間の相続問題がさらに複雑化しています。そのため、地方都市やその周辺部では、とくに、実家を継ぐ兄弟とその他の兄弟との争いが起きやすくなっています。

家族間のトラブルを未然に防ぎ、公平な解決を図るためには、相続について正しい知識を持つことが重要です。
本記事では、兄弟間で起こりやすい相続トラブルの事例、注意点、解決策を詳しく解説します。さらに、弁護士のサポートを活用することで、どのように問題を解決できるのかをご紹介します。

兄弟間でよくある相続トラブル例

兄弟姉妹間の相続トラブルとして、以下のような典型的なケースがあります。それぞれの事例を通じて、相続トラブルの実態を理解しましょう。

遺言書を巡る争い

遺言書を作っておけば相続トラブルにはならないと安易に考えがちですが、実は遺言書がある場合でもトラブルが発生することがあります。

遺言書について詳しくはこちら

形式の不備(自筆証書遺言)

費用が安く、手軽に作れる自筆証書遺言ですが、実は自筆証書遺言には細かいルールがあります(全文の自書、日付と署名、押印が必要など)。これらの不備があるとせっかく作成した遺言書が無効と判断される可能性があります。本人的には大丈夫だろうと考えがちですが、予想外に無効な遺言書が多く見られます。可能であれば、公正証書遺言で作成することを、どうしても自筆証書遺言で作成したいのであれば、作成したものを専門家に見てもらうことをお勧めします。

内容が不明確

遺言書は、第三者が見ても記載内容が明確にわかるように記載しなければなりません。ところが、せっかく形式的に有効な遺言書であっても、書かれている内容が不明確のため意味がわからない、つまり、遺言書としては意味がないものがよく見受けられます。遺言書にエンディングノートのような記載をしたものがありますが、気持ちはわかりますが、残念ながらそのような記載には法律的には効力が発生しません。

内容の不公平感

形式的に遺言書が有効であったとして、また、記載内容が明確であっても、特定の兄弟が優遇され、他方、他の兄弟が不利になる内容の遺言書があります。そのような遺言書が相続発生後に出てくると、「不当に差別された。きっと多くもらうことになった兄弟が親に圧力をかけて遺言書を作成させたのに違いない」と感じ、その兄弟が遺言の有効性を争ってくることがよくあります。

遺言書の有効性に関する疑義

遺言書は、元気なうちに作成するのが望ましいのですが、年老いてから、または病のために弱ってから遺言書を作成することが見受けられます。そうなると、遺言者が作成時に判断能力を欠いていたと疑われ、遺言書の無効を求めて訴訟に発展する場合があります。ですから、時が来たら、ではなくなるべくはやめに専門家に相談する必要があります。

財産評価の不一致

遺産がすべて預貯金であれば分割しやすいのですが、不動産や株式のような評価が流動的な資産がある場合、相続人間で、評価をどうするかで意見が対立することがよくあります。

不動産評価額の算定

不動産は個性があるため、その場所や市場動向により評価額が変動するため、相続人間で適正価格を巡って争いになることがあります。たとえば、地方の山間部にある宅地などの場合、固定資産税評価額である程度評価額がついていますが、実際には購入希望者がいないために取引相場でとらえるとほぼ価値がないともいえます。

預貯金現金が少ない場合のトラブル

遺産が不動産ばかりで預貯金や現金が少ない場合、どのように分配するかで意見が割れます。現物分割が難しいケースでは、代償分割や換価分割を行う必要があり、それがトラブルの原因になることもあります。ほとんどの相続人は、不動産を現物で取得することを嫌い、預貯金や現金などの取得を希望しますが、他の相続人に十分に渡せるだけの預貯金や現金がない場合があります。そうなると、分割が進みません。

特別受益を巡る問題

生前に一部の兄弟だけが特別な資金援助を受けていた場合、「特別受益として遺産から差し引くべきだ」という主張が出ることがあります。

大学の学費や住宅購入資金の援助
親の財産を借りて事業を始めたケース
その他の贈与

などが考えられます。
もらったとされる兄弟がもらったことを認めてくれればよいのですが、「いや、もらったことはない」と否定されてしまうことがあります。そうなると、いつ、いくらをもらったのか、援助を受けたのかを明確にする必要がありますし、それを裏付ける証拠を出す必要が出てきます。
また、金額が少ない場合には、「援助は受けたが、扶養のためである、あるいは一時的なものであり遺産分割には影響しない」という反論がなされることもあります。

寄与分を巡るトラブル(特に介護)

相続人の1人が亡くなった親と同居して介護をしていることがあります。親のお世話した相続人が「寄与分」を主張し、他の兄弟と対立するケースが増えています。寄与分とは、被相続人の財産維持や増加に特別な貢献をした相続人が、法定相続分以上に取り分を得られる制度です。
介護に関する寄与分のトラブルには次のようなものがあります。

寄与分について詳しくはこちら

介護の貢献度の認識の違い

長年にわたり親を介護してきた相続人が「寄与分が認められるべき」と主張する一方で、他の兄弟は「それは家族として当然の行為」であり、特別な貢献とはいえないとして認めない場合があります。

具体的な寄与の立証が難しい

介護があったとしても、どれほど財産の維持や増加に寄与したのかを明確にすることは難しく争われることがあります。
仮に、親と同居していた相続人が被相続人の資産を自分のために使いながら介護を行っていた場合、寄与分の評価が複雑化します。介護を無償で行っていた場合と、親から介護の御礼としてなにかしらをもらっていた場合で評価が異なるため、介護の状況を立証することが重要になります。

寄与分を巡る争いは感情的対立を深めやすいだけでなく、裁判所の調停や審判に発展しやすい問題です。他の兄弟との対立を避けるためには、介護中の記録を詳細に残しておくとともに、介護に基づく寄与分に関する話し合いを早めに行うことが有効です。

使途不明金問題

被相続人の預金からの引き出しが不透明な場合、兄弟間の不信感が生まれます。
預金口座の残高だけしか開示してくれずに生前の預貯金の払い戻しなどを教えてくれないと強い不信感が生まれます。

親の介護費用として引き出したが、明確な記録が残されていない
生前に特定の相続人が自由に口座を使っていた場合

相続人であれば、金融機関から預貯金の明細を取り寄せることが可能です。たとえば、施設入所中に、ATMから引き出しがあると、その払い戻されたお金はどうなったのかについて揉めることがあります。
使途不明金問題は調停や訴訟でもしばしば争点になります。

感情的な対立

兄弟間の相続トラブルは、感情的な対立に発展することが少なくありません。そのため、遺産額とは関係なく、遺産が少なくても揉めます。被相続人の遺産を分けるという手続なのですが、実際には、法律的な遺産分割の議論であるのに、親への貢献度や幼少期の思い出、他の兄弟は優遇されていた、自分は可愛がってもらえなかった不公平だなどの話題に飛び火し、対立が泥沼化することがあります。

お問い合わせはこちら

兄弟間での遺産分割の注意点

遺言書の有効性を確認

遺言書の内容は法的に有効であるかが重要です。
特に以下のポイントを押さえましょう。

公正証書遺言

公証人が法的な形式をチェックするため、トラブルを未然に防ぐことができます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言の場合は無効になりやすいので、専門家のチェックを受けたほうがよいでしょう。
なお、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で検認を受けることが必須です。

遺留分への配慮

遺言で特定の兄弟が大部分の財産を受け取る場合には、あまり財産をもらえない他の兄弟から大部分をもらった兄弟に対して遺留分侵害額請求をされる可能性があります。

遺留分とは

法定相続分の一定割合(配偶者・子の場合は法定相続分の1/2)が保証される権利のことです。仮に、他の兄弟の遺留分を侵害する内容となっている場合には、遺留分の請求をされますので、請求をされたときに遺留分を支払えるのか、その手当を考えておく必要になります。多くの遺言書を見ると、「全てを○○に相続させる」とだけ書いてあり、遺留分のことを考えていない遺言書がありますが、これは問題です。

不動産の扱い

遺産分割では、不動産がしばしば問題の種になります。

不動産について詳しくはこちら

共有名義のリスク

不動産を兄弟で共有する場合、売却や維持管理の同意を得るのが難しく、トラブルが長期化することがあります。共有にしてしまうと、後に、共有物分割をしなければならないことになります。つまり、問題を先送りしただけにすぎません。できれば、遺産分割をする際に、相続人で共有にするのは避けるようにしましょう。

公平な評価額の算定

不動産には、固定資産税がありますが、その他にも相続税評価額や実績価格などいくつかの評価があります。最近は、固定資産税評価額はついているものの実際には売れない土地もありますので、どのように評価するかは重要です。評価額に争いがあるときには、第三者である不動産鑑定士に依頼して適正な評価額を算定することも検討しましょう。

兄弟間の相続トラブルを回避する方法

生前の準備を徹底する

被相続人が元気なうちに、次のような準備を行うことで、兄弟間のトラブルを防ぐことができます。

遺言書の作成

公正証書遺言を作成し、遺産分割の方針を明確にしておくことが重要です。

財産目録の作成

どのような財産がどれだけあるのかをリスト化し、相続人全員で共有することが推奨されます。あらかじめ知っておけば、こんな財産があったはずだ、誰かがもらったのではないか等のトラブルを防ぎやすくなります。

家族会議

いきなり遺言書が出てくると、遺言書をめぐってトラブルになることがあります。あらかじめ、家族で話し合っておくことをお勧めします。

公平な遺産分割の実現

生前贈与を含めた相続計画を立て、特定の相続人に偏りが出ないように配分を調整しましょう。
また、専門家のアドバイスを活用することで、法律的にはどうなるかをふまえての納得感のある分割案を作成できます。

調停の活用

兄弟で話し合いが進まない場合、意見が対立している場合には、家庭裁判所の調停を利用することで、解決を図ることができます。
直接、当事者が話し合うと感情的になり、対立が激しくなりますが、調停委員が間に入ると、感情的な対立を和らげる効果も期待できます。
当事者で調停を進めることも可能ですが、遺産分割は専門的な内容が含まれているため、専門家に相談することをお勧めします。

弁護士に相談するメリット

法的知識を活用した適切な解決

弁護士は遺産分割や遺留分侵害額請求など、相続に関する法律に精通しており、複雑なトラブルにも適切なアプローチを提供します。

トラブルの拡大防止

兄弟姉妹間での相続の話し合いは、感情的になりがちです。ほんのちょっとした発言がもとで激しい感情的対立となってしまうことがあります。兄弟姉妹での直接交渉が難しい場合でも、弁護士が間に入ることで冷静な議論が可能になります。また、対立が激しい場合でも、法律の観点から合理的な解決策を提示することができます。

調停・審判でのサポート

調停や審判に進んだ場合でも、弁護士が代理人として手続を進めることで、依頼者の負担を軽減し、有利な結果を目指すことができます。初めての調停は、当事者の方には心理的負担が大きいと思います。遺産分割や相続に関する専門用語が調停の手続中に出てくることもあり、理解できないことがあるかもしれません。また、今後、どのように進んでいくのかも不安でしょう。そのようなときに、専門家のサポートを受けることで気持ちがずいぶんと楽になります。

兄弟間の相続トラブルは当事務所にお任せください

当事務所では、相続に関する相談は年間約250件(2024年11月時点)です。
このように相続に関して豊富な経験を持つ弁護士が、兄弟間のトラブルを円満に解決するお手伝いをいたします。
初回相談は無料ですので、相続に関するお悩みをぜひお聞かせください。
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