遺留分侵害額請求には期限がある?1年・10年の時効と起算点、内容証明の注意点を解説
- 2026.10.13
30秒でわかる結論
遺留分侵害額請求には期限があります。原則として、「相続が始まったこと」と「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったこと」を知った時から1年以内に、相手方へ遺留分侵害額請求の意思表示をする必要があります。
また、遺留分の侵害を知らなかったとしても、相続開始から10年を経過すると、原則として遺留分侵害額請求はできなくなります。 民法1048条がこの2つの期間を定めています。
期限が迫っている場合には、遺産の全額や正確な請求額がまだ分からなくても、まず遺留分侵害額請求権を行使する意思を相手方へ明確に伝えることが重要です。裁判所も、調停を申し立てただけでは相手方への意思表示にならないとして、内容証明郵便などによる意思表示を案内しています。
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確認事項 |
結論 |
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遺留分侵害額請求の基本期限 |
知った時から1年 |
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1年の起算点 |
相続開始と遺留分侵害の事実を知った時 |
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相続開始からの最長期間 |
10年 |
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遺留分を知らなかった場合 |
相続開始から10年経過すると原則請求不可 |
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1年以内に必要なこと |
相手方への権利行使の意思表示 |
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正確な金額の確定 |
意思表示時点で必ずしも確定している必要はない |
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調停申立てだけで足りるか |
足りないため別途意思表示が必要 |
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実務上の方法 |
内容証明郵便等で証拠を残す |
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2019年7月1日より前の相続 |
旧制度の「遺留分減殺請求」が適用される場合がある |
Q.遺留分侵害額請求には期限がありますか?
A.遺留分侵害額請求は、原則として、遺留分権利者が「相続の開始」と「遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」を知った時から1年以内に行使する必要があります。また、相続開始から10年を経過すると、原則として請求できなくなります。
民法1048条は、遺留分侵害額請求権について次の2つの期間制限を設けています。
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期限 |
起算点 |
意味 |
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1年 |
相続開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時 |
主観的な期限 |
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10年 |
相続開始時 |
知っていたかどうかにかかわらない最長期間 |
したがって、
「遺言書の内容に納得できないが、家族で話し合っている」
「遺産の金額を調査してから請求するか決めたい」
と考えているうちに1年が経過すると、遺留分侵害額請求権を失う可能性があります。
Q.遺留分侵害額請求とは何ですか?
A.遺留分侵害額請求とは、遺言や生前贈与によって遺留分を侵害された相続人が、財産を取得した人に対して、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを求める制度です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分です。
現在の民法1046条では、遺留分を侵害された場合、原則として不動産そのものを取り戻すのではなく、侵害額に相当する金銭を請求します。裁判所も、遺留分侵害額請求を「侵害額に相当する金銭の支払を請求する制度」と説明しています。
たとえば、父が、
「水戸市の自宅と預貯金をすべて長男に相続させる」
という遺言書を残した場合、他の子に遺留分が認められるケースでは、長男に対して遺留分侵害額に相当する金銭を請求できる可能性があります。
Q.「1年」はいつから数えますか?
A.1年の期間は、単に被相続人が亡くなった日から一律に始まるわけではありません。「相続が始まったこと」と「自分の遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」の両方を知った時が起算点になります。
民法1048条は、「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」から1年間と定めています。
たとえば、父が2026年1月10日に亡くなったとしても、その時点では遺言書が見つかっていなかったとします。
その後、2026年4月1日に、
「全財産を長男へ相続させる」
という遺言書が初めて判明し、その内容が自分の遺留分を侵害していることを認識した場合には、1年の起算点について2026年4月1日が問題になることがあります。
ただし、実際に「いつ知ったと評価されるか」は事実関係によって争いになることがあります。
そのため、期限ぎりぎりまで待つのは避けるべきです。
Q.被相続人が亡くなったことを知っただけで1年が始まりますか?
A.被相続人の死亡を知っただけで直ちに1年の期間が始まるとは限りません。遺留分を侵害する贈与や遺贈が存在することも知っている必要があります。
たとえば、
「父が亡くなったことは知っていたが、自分に知らせず公正証書遺言が作られていた」
という場合には、死亡を知った時と遺留分侵害を知った時が異なる可能性があります。
一方で、
- 遺言書の内容を読んだ
- 相続財産の内容を把握した
- 特定の相続人への多額の生前贈与を知った
などの事情があれば、そこから1年の期間が進行していると判断される可能性があります。
「まだ正確な遺留分額を計算できていないから1年は始まっていない」とは限らない点に注意が必要です。
Q.遺留分の正確な金額が分からなくても1年以内に請求できますか?
A.遺留分侵害額の正確な金額がまだ分からなくても、1年以内に遺留分に関する権利を行使する意思を明確に相手方へ伝えることは可能です。
遺留分の計算では、
- 被相続人の預貯金
- 不動産評価
- 株式
- 生前贈与
- 相続債務
- 他の相続人が受けた特別受益
などを調査する必要があり、短期間では金額を確定できないことがあります。
しかし、金額調査に時間をかけている間に1年が経過すると、権利そのものを失うリスクがあります。
法務省の立法過程でも、遺留分に関する権利行使の意思表示と、その後の具体的な金銭請求は区別して整理されています。
そのため実務上は、まず期限内に遺留分侵害額請求権を行使する旨を通知し、その後、財産調査をして具体的な金額を確定させる方法が考えられます。
Q.遺留分侵害額請求は口頭でもできますか?
A.遺留分侵害額請求の意思表示に法律上必ず内容証明郵便が必要とされているわけではありませんが、期限内に請求したことを証明するため、内容証明郵便など記録が残る方法を利用することが重要です。
電話や対面で、
「遺留分を請求します」
と伝えることが法律上全く意味を持たないわけではありません。
しかし後になって相手から、
「そんな話は聞いていない」
「1年を過ぎてから初めて請求された」
と言われると、請求した側がいつ権利行使したかを証明することが問題になります。
裁判所も、遺留分侵害額請求について、相手方への意思表示を内容証明郵便等によって行う必要がある旨を案内しています。
そのため、期限が問題になる可能性がある場合には、配達された日付や通知内容を確認できる方法を利用することが重要です。
Q.内容証明郵便を送れば1年の期限に間に合いますか?
A.遺留分侵害額請求権を行使する意思が明確に記載された通知が期限内に相手方へ到達すれば、民法1048条の1年以内に権利行使したことを証明しやすくなります。
重要なのは、単に、
「遺産について話し合いたい」
「遺言には納得できない」
と通知するだけではなく、遺留分侵害額請求権を行使する意思を明確に示すことです。
期限が迫っている場合には、
「私は、〇〇の相続について、あなたに対して遺留分侵害額請求権を行使します」
など、権利行使であることが分かる内容にすることが重要です。
内容証明郵便は、郵便局が「いつ、どのような内容の文書を差し出したか」を証明できるため、遺留分請求では実務上よく利用されます。
Q.家庭裁判所に調停を申し立てれば1年の期限は守れますか?
A.家庭裁判所へ遺留分侵害額請求の調停を申し立てただけでは、相手方に対する遺留分侵害額請求の意思表示をしたことにはなりません。調停申立てとは別に、期限内に相手方へ権利行使の意思表示をする必要があります。
ここは特に注意が必要です。
裁判所は、遺留分侵害額請求について、調停の申立てだけでは相手方への意思表示にはならないと明確に案内しています。
そのため、
「1年以内に家庭裁判所へ調停を申し立てたので大丈夫」
と思っていても、相手方に対する請求の意思表示を別途行っていなければ、時効が問題になる可能性があります。
期限が近い場合には、まず相手方へ請求の意思表示を行い、その後に交渉や調停を進めることが重要です。
Q.相続開始から10年経過するとどうなりますか?
A.相続開始から10年が経過すると、遺留分侵害の事実を知らなかった場合でも、原則として遺留分侵害額請求はできなくなります。
民法1048条は、1年の期間とは別に、「相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする」と定めています。
たとえば、
「父の死後11年たってから、兄だけに多額の財産を与える遺言書が見つかった」
という場合です。
遺言の存在を最近まで知らなかったとしても、相続開始からすでに10年が経過していれば、遺留分侵害額請求ができない可能性があります。
そのため、
「知らなかったからいつでも請求できる」
という制度ではありません。
Q.1年以内に請求すれば、その後はいつまででも支払いを求められますか?
A.1年以内に遺留分侵害額請求権を適切に行使すれば、民法1048条の1年の期間については対応できますが、その結果発生した金銭債権を永久に放置できるわけではありません。
遺留分侵害額請求権を行使すると、侵害額に相当する金銭債権が発生します。裁判所も、遺留分侵害額請求によって侵害額相当の金銭債権が発生すると説明しています。
一般の金銭債権について、現在の民法166条は原則として、
「権利を行使できることを知った時から5年」
または、
「権利を行使できる時から10年」
という消滅時効を定めています。法務省も現行民法の一般的な債権の消滅時効についてこの仕組みを説明しています。
したがって、「1年以内に通知だけ送れば、あとは何十年放置してもよい」ということではありません。
相手が支払いに応じない場合には、交渉、調停、訴訟など次の手続を進める必要があります。
Q.遺留分侵害額請求の期限と相続税の期限は同じですか?
A.遺留分侵害額請求の期限と相続税の申告期限は別の制度です。遺留分について争っている場合でも、相続税の申告期限が当然に延長されるわけではありません。
遺留分侵害額が後から確定した場合には、相続税について修正申告や更正の請求などが問題になることがあります。
国税庁も、遺留分侵害額請求に基づく金銭の支払額が確定した場合について、相続税等の税務上の取扱いを示しています。
そのため、遺留分請求と相続税申告を別々に期限管理することが重要です。
税務上の最終的な判断は、財産内容や既に行った申告によって異なるため、必要に応じて税理士にも確認してください。
Q.2019年7月1日より前に始まった相続でも同じ制度ですか?
A.2019年7月1日より前に被相続人が死亡した相続では、現在の「遺留分侵害額請求」ではなく、改正前民法の「遺留分減殺請求」が問題になる場合があります。
2019年7月1日に施行された相続法改正により、遺留分制度は大きく変更されました。
現在の遺留分侵害額請求は、原則として侵害額に相当する「金銭」を請求する制度です。
一方、それ以前の相続については旧制度が適用されるため、物件返還など法律関係が異なります。
裁判所も、2019年7月1日より前に被相続人が亡くなった場合、現在の遺留分侵害額請求調停ではなく、改正前民法に基づく遺留分減殺の手続が問題になると案内しています。
古い相続について請求を検討している場合には、どちらの制度が適用されるか最初に確認する必要があります。
具体例1|遺言書を見つけたのが死亡から3か月後だった場合
被相続人の死亡と遺留分を侵害する遺言の存在を知った時期が異なる場合、1年の起算点について遺言内容を知った時が重要になることがあります。
水戸市に住んでいた父Aさんが2026年1月10日に亡くなったとします。
相続人は、
- 長男B
- 長女C
の2人です。
Cさんは父の死亡を1月10日に知っていました。
しかし、2026年4月1日になって初めて、
「水戸市の自宅も預貯金もすべて長男Bに相続させる」
という遺言書の存在を知りました。
この場合、Cさんが相続開始と遺留分侵害の事実の双方を知った時がいつなのかを踏まえ、1年の起算点を検討します。
もっとも、
「4月1日から1年あるから、来年の3月まで何もしなくてよい」
と考えるのは危険です。
財産調査や不動産評価、相手方との交渉には時間がかかるため、遺留分侵害の可能性を知った段階で早めに確認することが重要です。
具体例2|期限まで1か月しかないが財産額が分からない場合
遺留分侵害額請求の1年期限が迫っている場合、遺産額の確定を待つよりも、まず期限内に権利行使の意思表示をすることが重要です。
たとえば、長女Aさんが、
「父の遺言で兄がほぼすべての財産を取得した」
と知ってから11か月が経過していたとします。
しかし、
- 父の預金残高が不明
- 水戸市の不動産の評価額が分からない
- 兄への生前贈与額も調査中
という状況です。
この場合、
「正確な遺留分侵害額が分かってから請求しよう」
と調査を続けるうちに1年が経過することは避ける必要があります。
まず内容証明郵便等で遺留分侵害額請求権を行使する意思を相手方へ示し、その後に具体的な金額を調査・交渉する方法を検討します。
Q.遺留分侵害額請求をする場合の基本的な流れは?
A.遺留分侵害額請求では、期限を確認したうえで早期に権利行使の意思表示を行い、その後に財産調査、侵害額の計算、交渉・調停等を進めることが重要です。
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手順 |
主な内容 |
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1 |
被相続人の死亡日を確認する |
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2 |
遺言書・生前贈与の内容を確認する |
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3 |
自分が遺留分権利者か確認する |
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4 |
1年・10年の期限を確認する |
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5 |
必要に応じて期限内に請求の意思表示をする |
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6 |
相続財産・生前贈与を調査する |
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7 |
不動産などを評価する |
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8 |
遺留分侵害額を計算する |
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9 |
相手方と金額・支払方法を交渉する |
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10 |
解決できなければ調停・訴訟を検討する |
裁判所は、当事者間で遺留分侵害額について話し合いがつかない場合に、家庭裁判所の調停を利用できると案内しています。
Q.遺留分侵害額請求で確認したい主な資料は?
A.遺留分侵害額を判断するには、遺言書だけでなく、相続財産、生前贈与、債務、不動産評価などの資料を確認する必要があります。
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資料 |
主な確認内容 |
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被相続人の戸籍 |
相続人の確定 |
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相続人の戸籍 |
相続関係の確認 |
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遺言書 |
誰がどの財産を取得するか |
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預貯金資料 |
相続開始時の預金額 |
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不動産登記事項証明書 |
不動産の内容 |
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不動産評価資料 |
遺留分計算の基礎 |
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有価証券資料 |
株式等の評価 |
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生前贈与の資料 |
遺留分算定への影響 |
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相続債務資料 |
遺留分額の計算 |
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過去の預金取引履歴 |
生前贈与等の調査 |
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内容証明郵便等 |
期限内の権利行使の証拠 |
裁判所も、遺留分侵害額請求調停では戸籍、遺言書、不動産資料、預貯金資料、債務資料などを標準的な資料として挙げています。
よくある質問
Q.遺留分侵害額請求は死亡から1年以内ですか?
A.必ずしも「死亡日から1年」ではありません。原則として、相続開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことの双方を知った時から1年です。
ただし、相続開始から10年が経過すると、遺留分侵害を知らなかった場合でも原則として請求できなくなります。
Q.遺言書を知ってから1年過ぎたら遺留分は請求できませんか?
A.遺留分侵害額請求権を1年間行使していなければ、時効によって消滅する可能性があります。
実際の起算点については、「いつ相続開始と遺留分侵害の事実を知ったか」が問題になるため、1年経過している可能性がある場合でも、自己判断で諦めず事実関係を確認することが重要です。
Q.遺産額が分からなくても内容証明を送れますか?
A,はい。遺留分侵害額の正確な金額が確定していなくても、遺留分侵害額請求権を行使する意思を相手方へ示すことは可能です。
期限が迫っている場合には、財産調査の完了を待つより、まず権利行使の意思表示を行うことが重要になる場合があります。
Q.調停を1年以内に申し立てれば内容証明はいりませんか?
A.いいえ。裁判所は、遺留分侵害額請求調停を申し立てただけでは相手方への権利行使の意思表示にはならないと案内しています。
調停とは別に、内容証明郵便などで相手方へ遺留分侵害額請求の意思を伝える必要があります。
Q.兄弟姉妹にも遺留分侵害額請求の期限がありますか?
A.兄弟姉妹には原則として遺留分そのものがありません。
遺留分が認められるのは、配偶者、子などの直系卑属、一定の場合の父母などの直系尊属です。したがって、兄弟姉妹は通常、遺留分侵害額請求をすることができません。
Q.10年以上たってから遺言書が見つかった場合でも請求できますか?
A.相続開始から10年を経過している場合には、遺言書の存在を後から知ったとしても、原則として遺留分侵害額請求はできません。
遺留分侵害の事実を知らなかった場合にも適用される最長期間があるためです。
Q.遺留分侵害額請求について弁護士に相談した方がよいケース
A.遺留分侵害額請求の期限が近い場合や、いつから1年が始まったのか判断が難しい場合には、早めに弁護士へ相談することが重要です。
特に、次のような場合には相談を検討するとよいでしょう。
- 遺言書を見つけてから1年近く経過している
- いつ遺留分侵害を知ったことになるのか分からない
- 相続開始から10年近く経過している
- 相手方にまだ遺留分請求を伝えていない
- 内容証明郵便をどのように作ればよいか分からない
- 相手方から遺留分請求を拒否されている
- 相続財産の全体像が分からない
- 特定の相続人への生前贈与が疑われる
- 水戸市や茨城県内の不動産評価が必要である
- 遺留分額の計算が複雑である
- 調停や訴訟を検討している
- 2019年7月1日より前に発生した相続である
特に期限が迫っているケースでは、財産調査をすべて終えてから相談する必要はありません。
遺言書、戸籍、相手方との連絡記録など、現在手元にある資料だけでも、まず期限と対応方法を確認することが重要です。
まとめ|遺留分侵害額請求は「知った時から1年・相続開始から10年」に注意
遺留分侵害額請求は、原則として、相続開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年以内に行使する必要があります。また、遺留分侵害を知らなくても、相続開始から10年を経過すると原則として請求できなくなります。
特に注意したいのは、1年以内に遺留分の金額を完全に確定させることよりも、期限内に相手方へ遺留分侵害額請求権を行使する意思を明確に伝えることです。
また、家庭裁判所へ調停を申し立てただけでは相手方への意思表示にならないため、内容証明郵便などによる通知を別途行う必要があります。
「遺言書を知ってからかなり時間がたっている」「期限まであと数か月しかない」「生前贈与の調査が終わっていない」という場合には、期限を過ぎる前に弁護士へ相談すると、必要な手続を整理しやすくなります。
監修:みとみらい法律事務所
みとみらい法律事務所では、水戸市を中心とする茨城県内で、遺留分侵害額請求、遺産分割、遺言、相続放棄などの相続問題に関する法律相談に対応しています。
「遺言書で自分の相続分がほとんどない」「兄弟への生前贈与で遺留分が侵害されている可能性がある」「遺留分請求の1年期限が迫っている」といった場合についてもご相談いただけます。
※本記事は一般的な法律情報を提供することを目的とするもので、個別の事案に対する法的助言ではありません。遺留分侵害額請求の起算点は具体的な事情によって争いになる場合があります。また、税務上の取扱いについては必要に応じて税理士にもご確認ください。
根拠法令・参考公的資料
- 民法1042条以下(遺留分)
- 民法1046条(遺留分侵害額の請求)
- 民法1048条(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
- 民法166条(債権等の消滅時効)
- 裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
- 裁判所「遺留分放棄の許可」
- 法務省「遺留分制度の見直し」
- 法務省「債権の消滅時効に関する見直し」
- 国税庁「遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した場合の課税関係」























