相続で預金の使い込みを疑われたら?介護で使ったお金も返還請求される?不当利得返還請求の裁判対応
- 2025.09.29
相談者情報
相談者
小林さん(仮名・女性)
居住地
茨城県水戸市
続柄
被相続人(母)の娘
関係者
母(被相続人、令和5年に死亡)
兄(すでに死亡、母の預金管理を一部担っていた)
妹や甥(兄の子、原告、孫にあたる)
相談者のモノローグ(背景事情)
「母が令和5年に亡くなりました。母は要介護状態で、私はほぼ毎日、炊事や洗濯、買い物、介護を担っていました。その際に生活費や介護費用として母の預金を引き出し、母の了承のもとで一部は私の手間賃として月10万円をいただくこともありました。
しかし、母の死後、甥(兄の子ども)から突然『不当利得返還請求』として訴えを起こされました。総額2,500万円以上を返せという訴状が届いたのです。私は母のためにお金を使ってきただけで、不当に得たものはありません。それなのに“まるで使い込んだかのように”疑われてしまい、本当に悔しく、悲しい気持ちでいっぱいです。裁判でどう説明したら分かってもらえるのか、不安で仕方ありません。」
相談者からの質問と弁護士の回答
質問1
訴状にどう対応すれば良いですか?
弁護士の回答
「訴状に対しては『答弁書』を提出する必要があります。答弁書では、相手の主張を一つ一つ確認し、
①その通り認める、②違う、③分からない、の3つに分類して裁判所に示すことになります。この作業を怠ると、相手の主張をすべて認めたとみなされてしまう危険があります。ですから、訴状の文章を一つずつ丁寧に確認し、どの部分を争うのかを明確にすることが第一歩です。」
質問2
母のために使った生活費や介護費用は認めてもらえますか?
弁護士の回答
「裁判所は“事実を証拠で裏付けできるか”を重視します。領収書や記録があれば一番有力ですが、なくても家計簿、介護認定資料、通院記録、生活費の平均的支出額などをもとに説明することは可能です。『母のために使った』という言葉だけでは抽象的に不十分なので、できる限り客観的に説明・証明する必要があります。」
質問3
原告である孫に、そもそも請求する資格はあるのですか?
弁護士の回答
「孫は父親(あなたの兄)が亡くなったことで代襲相続人となり、法定相続分を主張できます。したがって、請求する資格は認められます。もちろん、すべての出金が不当利得にあたるわけではなく、母の意思に基づき支出された分や生活費・介護費用として正当な理由がある分については、不当利得とはならないと反論できます。」
弁護士からのアドバイスの要点
訴状に対する答弁書は「認める・否認する・不明」を明確に分類して記載すること。
生活費・介護費用に関しては、できる限り証拠を揃え、客観的に説明すること。
弁護士所感
今回の事例では、被相続人の預金引き出しが「不当利得」と主張されて訴訟になりましたが、実際には介護や生活のために使った正当な出金も含まれています。裁判では「どの出金が正当で、どの出金が返還すべき対象か」を具体的に切り分けることが重要です。
この事例から学ぶべきことは、家族間での預金管理は必ず記録を残し、合意を明文化しておくことの大切さです。証拠がないと、後から「使い込み」と疑われるリスクが非常に高まります。
弁護士にご相談ください
相続トラブルは、親族同士の信頼関係を壊し、長期の裁判に発展することも少なくありません。今回のように「介護のために使ったお金」が争いになるケースは非常に多いです。
みとみらい法律事務所では、相続に関する初回相談を無料で承っています。水戸市、ひたちなか市、那珂市、東海村、茨城町にお住まいで、相続や預金管理、遺産分割について不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。専門の弁護士が、ご家族に最適な解決策を一緒に考えます