【不動産相続土地の共有問題】他の相続人と連絡が取れない場合、どうすべきか?~売却希望の土地に共有者がいた相談事例~
- 2025.07.22
依頼者情報の整理
相談者氏名
後藤さん(仮名)
居住地
不明(茨城町や小美玉市の土地が登場)
年齢
詳細不明(30歳頃に裁判経験あり、現在は中年以降と推定)
被相続人
後藤さんの祖父
相続人
父(既に故人)、異母兄弟(父の前妻の子)も相続人
お姉さん(田野妙子さん)、他相続人(田中善太郎氏など)
相談者の背景事情
「父が私が生まれる前に亡くなり、祖父の土地について相続が発生しました。当時はよくわからないまま、遺産分割調停に出席して終わらせた記憶だけが残っています。私は土地を4/5、もう1人の相続人が1/5を取得する形、つまり土地を共有する形で解決しましたが、今になってその土地を業者が買いたいという話があり、改めて共有者と連絡を取ろうとしたところ、まったく所在がつかめません。もしかすると亡くなっていて、その子供が相続しているのかもしれません。この先どうすればいいのか、自分では分からず弁護士に相談しました。」
質問と回答
質問1
「共有名義の相手と連絡が取れない場合、どうしたらよいですか?」
回答
「まずは共有者本人が存命か、その相続人が誰かを調査する必要があります。具体的には、かつての住所から住民票や戸籍をたどって現在の相続関係を確認します。弁護士であれば、正当な利益関係者として相続関係を調べる手続きが可能です。」
質問2
「相手の持分を買い取って私が単独所有にすることはできますか?」
回答
「はい、共有持分を買い取ることで単独所有にするのが一般的です。共有物分割の方法としては、①現物分割、②代償分割(あなたが買い取り金を支払う)、③競売による換価分割の三種類があります。今回は、業者との売却交渉を考慮すると、相手方の持分2割を買い取り、全体を売却する方法が現実的です。代償分割をするのが望ましいかと思います。」
質問3
「固定資産税の請求が来ていないのですが、問題はありませんか?」
回答
「固定資産税の請求が来ていない場合でも、所有者としての課税義務は残ります。免税点を下回る場合や、自治体の登録情報が更新されていないケースもありますので、念のため管轄の市町村役場に問い合わせて確認しましょう。未納がある場合は遡って請求されることもあるため注意が必要です。」
アドバイスの要点
共有持分の取得方法
現物分割・代償分割・競売の3つがある。
相続人調査の重要性
戸籍・住民票の追跡により現所有者を特定。
固定資産税の確認
未納リスクを避けるため役所への確認が必須。
今後の対応案
相続人の人数次第で交渉または共有物分割訴訟を視野に。
弁護士所感
今回の相談では、共有状態の土地をめぐって、相手方の所在不明という問題が焦点でした。共有者の所在を調査し、相続関係を明らかにした上で、代償分割による単独取得、もしくは競売手続きを選択するのが現実的な解決策です。
教訓としては、相続問題を「裁判で一応終わったから」と放置せず、すぐに登記や名義変更、持分整理を行うべきという点です。
また、今後の義務化された相続登記制度に備え、早めに専門家に相談することで、不動産の価値を最大限に活かすことが可能になります。