預金の払い戻しの調査により獲得遺産額が増えた事例
- 2025.04.23

本件は、公正証書遺言があった相続の案件です。調査の過程で、被相続人の生前の預金払い
戻しが多数回行われ、それをどのように扱うかが問題となりました。
弁護士の介入により、払い戻しの詳細な調査を行い、依頼者の取得分を増額することに成功しました。
依頼者の属性
氏名
田中(仮名)
居住地
水戸市
性別・年齢
男性(50代)
争点
・遺産の範囲(生前の預金払い戻しの扱い)
・遺留分侵害額請求の可能性
ご依頼の背景
依頼者(田中さん)は、被相続人(鈴木良子さん)が生前に作成した公正証書遺言により、
不動産を単独で相続することが決まっていました。さらに、預貯金や株式については、相続
人 2 名が 1/2 ずつ取得する内容でした。
しかし、鈴木さんの生前に、もう一人の相続人(相手方)が鈴木さんの預貯金を管理してい
たことがわかりました。被相続人が老人介護施設に入所していた間に、財産管理をもう一人
の相続人(相手方)が行っていた気配があるとのことでした。
依頼者は、事実関係を明らかにしたいと事務所にご相談にいらっしゃいました。
弁護士の対応
生前の預貯金取引の調査
・介護施設入所期間を調査し、相手方の預金管理期間を照合。
・取引明細を取り寄せ、払い戻しの詳細を確認。
・被相続人の意思に基づく払い戻しかどうかを検討。
相手方への確認
・調査の結果、約 3,000 万円の払い戻しがあったことが判明。その明細を相手方に送付し、使途の説明を求めました。
・相手方は、当初「世話になったので受け取った」という口頭の説明のみで、贈与を裏付ける契約書等の証拠がありませんでした。
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主張の整理
贈与等を裏付ける書類がないため、これらの払い戻しは生前贈与ではなく「預かり金」として遺産に含めるべきであると主張しました。その際に、もし生前贈与だとすると申告をしていないので脱税と指摘される可能性があること等を説明しました。
相手方は、税理士に相談し、税理士の見解も踏まえた上で、預かり金としての扱いでよいと回答してきました。
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結果
– 遺産総額が当初の約6,500万円から払い戻し分を含めたことから約9,500万円に増額。
– 交渉の結果、依頼者の取得分が当初の遺産をベースにした計算よりも約1,500万円増額。
– 遺産の適正な配分が実現し、依頼者も納得のいく形で相続を完了できました。
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弁護士の所感
本件は、公正証書遺言があったものの、被相続人の生前の預金管理が争点となった事例です。相続においては、被相続人の財産の動きを明確にし、不正な資産流出がないかを確認することが重要です。
特に、預金の明細を調査し、高額な現金の引き出しがある場合、その資産の使途や遺産の範囲を慎重に検討する必要があります。本件では、詳細な取引履歴の分析と適切な交渉により、依頼者にとって有利な結果を得ることができました。
相続に関するお悩みをお持ちの方は、専門家に相談することで、最適な解決策を見つけることができます。早めの相談が、円満な遺産分割の鍵となります。
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相続問題は専門的な知識が必要な場合が多いため、一人で悩まずに弁護士にご相談ください。水戸市やその周辺で相続に関するご相談がありましたら、ぜひ当事務所までお問い合わせください。