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放置されていた遺産分割

2024.07.26
依頼者の属性

常陸太田市 女性 70代

争点

遺産内容の開示、代償金の額

相談背景

知人からのご紹介。

平成24年に夫が死亡。子どもがいないため、相続人は妻である相談者と夫の兄弟姉妹、甥姪たちであった。平成24年から25年頃に、夫の兄弟姉妹と連絡を取り、遺産分割協議を行い、ほとんどの相続人から、「すべての遺産は妻である配偶者が取得する」との遺産分割協議書と印鑑証明書を取得していた。ところが、姪2人からは、遺産の内容を教えて欲しいという連絡があった。しかし、相談者は、会ったこともない姪に会って、いろいろと説明しなければならないと考えすぎてしまい、精神的にまいってしまい、そのまま10年以上手続を放置してしまった。その後、相続登記義務化の話しを聞いて、夫名義のままの不動産の名義を何とか変更しなければならないと考えて、思い切って相談にきたとのことであった

弁護士の対応

遺産分割協議書は、全員からもらわなければならないが、遺産分割協議書をもらっていない姪2人は、以前に、相続財産のことを教えて欲しいと言ってきた。今回も、同様の要求をしてくることは間違いないため遺産を整理することにした。

遺産は土地、未登記の建物。評価額は約200万円

預金が約400万円。

遺産総額は約600万円。

計算上、2人の姪の相続分はそれぞれ約18万円であった。

これらをわかりやすく伝えるために、相続人関係図と相続分の計算を説明。そして、遺産目録、遺産の額を裏付ける固定資産税評価額証明書と死亡時の残高証明書の写しを同封して、相続に関する意向を教えて欲しい旨の文書を郵送した。

その結果、1人は「代償金は要らないので、今回の相続分を放棄したい」との回答が、もう1人からは「約18万円の代償金を受け取ることで、その相続分を譲渡してもよい」との回答が戻ってきたため、相続分を譲渡する合意書を作成して送付した。

結果

残っていた姪2人から相続分の譲渡を受けることができた。これに以前に他の相続人から取得していた遺産分割協議書も合わせて使い、不動産の相続登記手続を行うことができた。

弁護士所感

依頼者からは、「姪から相続財産を教えて欲しいと言われて、話をするのが嫌になって放置してしまい、解決までに10年以上を経過してしまった。しかし、最初から弁護士に手続を依頼しておけば、もっと早くスムーズに相続の手続をすることができた。相談を躊躇していたのはよくなかったと思う。」との言葉があった。揉めていなくても、相続の話しをするのは、負担に感じやすいことから、ぜひ専門家である弁護士を上手に利用していただきたい 。

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