叔父の財産管理と遺産分割
- 2024.05.13
相談者の属性
60代 ひたちなか市 女性
争点
叔父の財産管理、将来の相続対策、遺産分割、遺産の評価
相談に至った経緯
知人からのご紹介があった案件。相談者は1人暮らしとなった叔父の生活の面倒をみていた。叔父の養子となっていた親類は叔父から通帳と印鑑を預かっていたが、それらを使い、相続対策のためと称して叔父の預金から多額の預金を払い戻していた。そのことを知った叔父が今後の生活と亡くなった後のことを心配し始めた。そこで、叔父の不安を解消し、将来の相続を円滑に進めるために、どのようにしたらよいかを知りたいとのことであった。
弁護士が対応したこと
生前の対策について、叔父としては今後の介護等の面倒をみて欲しいということから、相談者と養子縁組をしたいとのことであったので、叔父の判断力がはっきりしているうちに、できるだけ早めに養子縁組することを勧めた。
相談者が養子となった場合は、叔父の相続人は相手方と相談者の2名となる。叔父としては、無断で多額の預金を払い戻した相手方への不信感でいっぱいであったが、今から養子縁組解消などをする気力もないとのことであった。また、遺言書の作成については、叔父も相談者も乗り気ではなかった。そうなると、相続が発生すると遺産分割協議をしなければならないが、そのときに、相手方が払い戻しした預金の取り扱いについて意見が対立する可能性があったことから、叔父に払い戻しが叔父の意思に反して行われたことを自筆で書いてもらうことにした。また、これ以上の預金の払い戻しを防ぐために、預貯金通帳と印鑑を返還してもらうことにした。
その後、相続が発生した。相続人は養子2名のみ。財産は預貯金と不動産。遺産分割協議について受任した旨を通知したところ、相手方も弁護士に依頼。弁護士との協議が始まった。協議の中で、まず、相手方が払い戻した預金は、すべて相続財産に持ち戻してもらうこととした。次に、不動産の評価が問題となった。
相手方が不動産業者に見積依頼をした金額が相場よりも安いのではないかと考えたことから、こちらも別の不動産業者に見積依頼をしたところ、当初の金額よりも約1000万円評価額があがった。これらをもとに交渉をしたところ、約1年で分割協議が成立した。
結果
不動産は相手方が取得し、預貯金と代償金をこちらが取得することとなった。
弁護士所感
今回は生前からアドバイスをさせていただいた。叔父の介護だけをして相続の際には、何もいただけないという事態を避けることができた。
また、生前に払い戻された預金について、被相続人の叔父が指示したものではないことの手書きメモを準備することができた。また、持ち戻した預金を相続財産の計算に加えることができた。不動産の評価について別の不動産業者に査定を依頼することで約1000万円評価額があがり、それにともない相続分も増加した。
金額面よりも精神面でサポートを受けられたことはよかったのではないだろうか。遺産分割の交渉や精神的に負担が大きい。
弁護士が交渉の表に立つのではなく、依頼者の影からサポートをすることも行っている。今回は相談できる専門家がそばにいるということで安心していただけたと思う。