お世話になった人に遺産をあげたいと思い作成した遺言書が遺言書としては無効のため、代わりに、死因贈与として認めてもらった事例
- 2022.10.10
相続財産
遺言
預貯金
被相続人との関係
近所の知り合い
相談背景
ご依頼者は那珂市の方でした。ご依頼者はご近所の知り合いの方とまるでご兄弟のように付き合っておられました。
その近所の方が病気になったときには見舞いに行き、いろいろなことについて相談に乗るなどしていたそうです。
その方は、お父さんお母さんは昔に亡くなり、独身で奥さんも子どもがおらず、兄弟が一人おられたのですが、先に亡くなっていました。
唯一、相続人としては、甥が一人おりました。甥は、関西地方に住んでおり、交流が全くなかったそうです。
その方は、生前、自分が亡くなった後に、自分の財産がまったく交流のない甥のものになってしまうと知って、全部の財産を世話になったご相談者にあげたいと言っており、自筆で遺言書を作成していました。
ご依頼者は、その方が亡くなった後に、自筆の遺言書を見つけて検認の手続をしました。
そして、相続人の預貯金を払い戻しするために、その自筆の遺言書を銀行の窓口に持っていき、手続をしようとしました。
ところが、銀行から「この遺言書には、○○さんに相続させる」と書いてあるが「○○さんは相続人ではないので、この預金を相続することができません」と言われてしまったとのことで、困ってしまいました。
たしかに、相続させることができる相手は相続人であることが前提です。ご依頼者は相続人ではないので、相続させることができません。そのため、預金を取得することができないという結論となります。
そこで、ご相談にお見えになりました。
弁護士の対応
ご相談者からいろいろとお話をうかがったところ、生前に、「すべての財産をあげたいのだが、受け取ってくれるか」という話しがあったそうで、そのときに、「わかった、引き受ける」というやりとりがあったとのことでした。
そこで、遺言書としては無効であるとしても、死因贈与契約が成立しているのではないかと考えて、訴訟によって死因贈与契約として有効であることを確認してもらい、その判決に基づき払い戻しを受けることにしました。
結果
ご依頼者には、亡くなった知人の方の思いをかなえることができてよかった、これでこれからずっと供養をしてあげることができると喜んでいただきました。