自筆証書遺言の効力が争われたが判決で認められた事例
- 2022.10.02
相続財産
遺産分割
自筆証書遺言
被相続人との関係
子供
相談背景
ご依頼者は日立市の方でした。お家族関係は複雑でした。
被相続人は、お父さんで、相続人は、お子さんたちで6人おりました。4人はお父さんと亡くなったお母さんとの子でしたが、2人は、お母さんが亡くなって後にお父さんとある女性の間に生まれた子(異母兄弟)でした。
ご依頼者は、亡くなったお母さんとの間に産まれた方でした。
ご依頼者は、お父さんが亡くなって相続手続のために戸籍謄本をたどっていったら、他にも相続人がいたということで驚いたそうです。
ご依頼者は、異母兄弟にも相続する権利があると理解したので、冷静に話し合いを進めようと考えて、全体の相続財産の約10分の1の代償金を支払うという提案をしました。
当初、それでよいと言っていたようですが、異母兄弟は弁護士に依頼しました。その弁護士から、遺産分割の依頼を受けたとの内容証明郵便がご依頼者のもとに届き、相談に至りました。
弁護士の対応
いろいろとご事情を伺っていると、お父さんが書いたメモのような遺言書のようなものがあるとのことでした。
ご依頼者は、公正証書で作られていないので、遺言書ではないと思い込んでおられるようでしたが、もしかすると、自筆証書遺言として有効であるかもしれないと考えて、次回の打ち合わせのときに、それを持参してもらうことにしました。
次回の打ち合わせのときに、拝見したところ、それは封筒に入っておりませんでした。和紙に筆ペンに近いもので書かれておりました。
内容をよく読むと、○○に△△を相続させるという内容が記載されていました。日付もあり、署名押印もあり、自筆証書遺言としての用件を充たしていました。
そこで、この遺言書について検認手続を申し立て、その後、遺言書どおりにしようと提案させていただきました。
無事に遺言書の検認手続が終了したところ、異母兄弟から、遺言書について無効確認の訴えが起こされました。
理由は、字が違う、偽造だというのです。亡くなられたお父さんの書いた文書、契約書、日記等の資料が残っていたので、それらを証拠として提出しました。
筆跡に特徴があり、ほぼ間違いなく、亡くなったお父さんの字であると思いました。
1年近く争ったのですが、判決で遺言書が有効と判断されました。
しかし、この事案は、それで終わらずに、次に、遺留分減殺請求の調停を申し立てられました。
約2年の時間がかかりましたが、遺留分の額は、こちらの言い分どおりの額でまとまりました。
結果
この事案では、ご依頼者の方がご自身でこれは遺言書ではないと思い込んでおられたのですが、念のため、現物を持参してもらい、弁護士が確認することで、法律的に見て遺言書であると判断することができました。
その結果、異母兄弟の取得分が当初考えていた相続分割合ではなくその2分の1の遺留分割合の額になりました。