介護による寄与分が審判で認められた事例
- 2022.09.25
相続財産
遺産分割
被相続人との関係
子供
相談背景
ご依頼者は笠間市の方で、約70歳の長男さんでした。被相続人はお父さんであり、相続人は長男さんのほかは、東京で暮らしている長女さんです。
ご依頼者である長男さんは、奥さんと一緒に同居しながら、ずっとお父さんの介護を続けておりました。
お父さんは、亡くなる数年前から単独での歩行が困難となり、そのため、自宅で介護をしておりました。たまにデイサービスを利用することもあったようです。
亡くなる2年前くらいから、東京で暮らしている長女さんが1か月に1回くらいの頻度で実家に戻ってきては泊まってお世話をしていくようになりました。お父さんの介護してあげたいとのことでした。ご依頼者さん夫婦は、実の娘がお世話をしたいというのであればそうしてあげようと考えて、長女さんの行動を認めてあげることにしました。
ところが、お父さんの介護をどうするかについて、同居している長男さんご夫婦と長女さんで意見が衝突するようになりました。
ご相談者ご夫婦からすると、長女さんはたまにしかお父さんのお世話をしないため毎日介護を続けて疲れているご相談者ご夫婦の苦労などを理解しないで、「ああしろ」「こうしろ」と、少し対応するのが難しい提案をしてきて、それができないと非難してくるため気疲れしてしまったとのことでした。
その後、しばらくしてお父さんが亡くなりました。相続が発生し、遺産分割の段階になってから、長女さんは、自分はお父さんの面倒をみるためにわざわざ東京から帰ってお世話をしたのだから、その分を寄与分として認め、多めに財産を分けて欲しいと言ってきました。
これを聞いて、ご相談者夫婦が激怒してしまい、話し合いができなくなってしまったとのことでした。
冬の真夜中に、お父さんの排泄のために起きて、大変辛い思いをしてきたのに、長女さんがそのような長男さんたちの介護の苦労をまったく評価しようとせずに、自分も同じくらいに介護をしてきたといって譲らないのが許せないとのことでした。
当事者間の話し合いではとうてい解決できないと考えて、ご依頼を引き受けました。
弁護士の対応
ご相談者のご意向は、長女さんの寄与分は認められない、かえって自分たちの寄与分を認めて欲しい、お父さん名義の土地建物については長男として相続したいとのことでした。
調停を申し立てたのですが、長女さんとしてはやはり寄与分を主張して妥協するのが難しいことがわかりました。
そこで、調停を不成立とし遺産分割の審判で解決することとなりました。審判では、長男さんご夫婦がお父さんの介護をどのように行っていたのかについて具体的に主張し、その裏付けも出しました。
結果
その結果、審判ではこちらは300万円ほどの寄与分を認めてもらうことができ、長女さんの寄与分は認められませんでした。
ご依頼者は、金額はともかくとして、ご自分たちがお父さんに貢献したことが審判書で認められたことに満足しておられました。