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同居していた相続人による預金の払い戻しについて特別受益が認められた事例

2022.09.12
相続財産

預貯金

被相続人との関係

相談背景

ご依頼者は水戸市の方でした。ご依頼者のご家族の関係ですが、被相続人はお父さんで、お母さんは既に亡くなっておられ、相続人はご依頼者と長男さん、妹さんの3人でした。

長男は実家で暮らしており、お父さんとしばらく同居しておりましたが、亡くなる3年前から高齢者施設で暮らしていました。

お父さんが亡くなって、しばらくすると、長男から、ご相談者と妹さんに遺産分割案が提示されました。

それには遺産の一覧表とそれを裏付けるコピーがついておりました。遺産のうち預貯金については金融機関が発行した死亡時の残高証明書がついており、遺産の一覧表の預貯金の額は死亡時の残高証明書の金額が記入されておりました。

ご依頼者は、その預貯金の死亡時の残高が、以前にお父さんから聞いていた金額よりも相当に少ないのが気になりました。

そこで、他にも預貯金口座があるのではないか、お父さんの生前に贈与があったのではないかと考えて、事務所に相談にお見えになりました。

弁護士の対応

長男さんからの遺産分割案を見ると、遺産の一覧表に記載していない遺産を誰が取得すると明示されていませんでした。

そこから考えると、もし新たに預貯金等の遺産が見つかった場合には、その遺産について遺産分割の協議をすることになることをお伝えし、お父さんから長男さんへの生前贈与については、預貯金の履歴を調査してみることを提案いたしました。

履歴の取得についてはご依頼者にお願いしました。その後、預貯金の履歴が届いたので、払い戻しについて見ていったところ、亡くなる前日から亡くなる10日迄の間に、ほぼ毎日50万円がATMから払い戻されていました。総額は400万円です。その他、高齢者施設に入所してからも、30万円から50万円が払い戻されて、その合計が約600万円となることがわかりました。

お父さんの当時の状況からすると、お父さんが自分でATMから払い戻しをしたとは考えられないとのことでした。

すると、払い戻しは長男さんが行っていたものと考えられます。そうなると、合計約1000万円の払戻金がどうなったのかが気になります。

そこで、これらの疑問点について長男さんに説明を求めることにいたしました。

長男さんからは、お父さんのために使ったというだけで具体的な説明はなく、あいまいな説明でした。

そこで、遺産分割の調停を申し立てることにいたしました。調停において、合計約1000万円の払戻金については、特別受益であるとの主張をしました。

結果

調停の中でいろいろと資料が提出され、ある程度、納得できる部分もありましたが、最終的には、長男さんが700万円の特別受益を得たということで解決することになりました。

ご相談者も、払い戻した部分がある程度明確になったこと、加えて、相続額が増えたことによりご納得いただけました。

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