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相続人に認知症の人がいたので後見人をつけて遺産分割をした事例

2022.08.22
相続財産

会社の株式、会社に対する貸金、自分の会社の株式、一般の株式、土地、土地の上に立てたアパート
約2000万円を銀行から借入

被相続人との関係

夫婦

相談背景

ご相談者はひたちなか市の方でした。

被相続人は、小さな製造会社を経営していました。ご依頼者は、被相続人の妻です。お子さんはいません。

被相続人(夫)には母親がいるのですが、認知症のために、判断力が衰えていました。遺産分割協議をしようにも内容が理解できないので、遺産分割協議を進めることができません。

被相続人(夫)の遺産としては、会社の株式、会社に対する貸金、自分の会社の株式、一般の株式、土地、土地の上に立てたアパートなどがありました。アパートを建築するために、約2000万円を銀行から借入をしているので、その債務がありました。

この会社は、被相続人(夫)の他に従業員が3名いました。会社の業務のうちほとんどを被相続人(夫)がこなしておりましたので、被相続人(夫)が亡くなると、事業がストップしてしまい、従業員もすべて辞めてしまいました。

被相続人(夫)の母との間で遺産分割協議を進めなければならないのですが、認知症であるため、手続を進めることができずにおり、今後の進め方について悩み,税理士さんに相談をし、その税理士さんに私の事務所を紹介されて、相談にお見えになりました。

弁護士の対応

詳しくお話をうかがったところ、認知症が進んでいるとのことだったので、やはり被相続人(夫)の母親には、成年後見人をつけなければならないと考えました。この話をしたところ、被相続人(夫)に妹がおり、その妹が家庭裁判所に、成年後見人選任の申立をしてくれるだろうとのことでした。

そこで、できるだけ早めに、成年後見人選任の申立を進めてもらうことを勧めました。その後、被相続人(夫)の母親の成年後見人として、弁護士が選任されたので、遺産分割の調停を申し立てることにいたしました。

ご依頼者のご要望は、被相続人(夫)が残したアパートの建物と敷地を取得したい、被相続人(夫)のために生前支払ってあげた高額な治療費の立替払い分は精算して欲しいというものでした。

調停の中で、ご依頼者が夫の治療費を立替払いしていたことから、
その立替払い分を一覧表に整理し、それを裏付ける資料をコピーして調停に提出しました。
また、アパートの価値をどのように評価するかについて、双方に意見の隔たりがあったことから、不動産鑑定評価書を提出しました。
経営していた会社への貸金の回収、株式等については、その会社について清算手続をとることにしました。これについては、調停外で後見人と協議をしながら進めることにいたしました。

結果

このように小さな会社の経営者が亡くなった場合に会社も営業停止してしまうケースもあり、そのようなケースは一般の相続の場合と比べて複雑になります。いろいろと尽力した結果、治療費の立替払いも認められ、被相続人(夫)が残したアパートの建物と敷地を取得でき、その評価額もこちらの主張に近い金額となりました。

依頼者様からは「とても自分だけでは遺産分割ができないケースであったので、大変、助かった」との感謝の言葉をいただきました。

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