同居していた長男が亡くなった後も面倒をみてくれる長男の嫁のために遺言書を作成した事例
- 2022.04.03
相談背景
ご依頼者は、水戸市の方でした。長男夫婦、孫たちと仲良く同居しておりました。ところが、長男が病気で亡くなりました。
その後も、残された長男の妻(お嫁さん)と孫たちと仲良く暮らしています。最近は、身体の自由がきかなくなってきたため、病院や買い物のために外出するときに、お嫁さんに送迎や、付き添いをしてもらっています。ご依頼者は、最近、自分が亡くなったらどうなるのかについて考えました。依頼者様の相続人は、長男の子である孫たち、次男、長女がいます。相続の対策を何もしないと、依頼者様の財産は、これらの人に共同相続されて、遺産分割をしなければならないことになります。そうなると、遺産分割でもめてしまうこともあります。もしかすると、これまで一緒に住んで面倒をみてくれたのに、家を追い出されてしまうかもしれない。そんな可哀想なことにしたくはないので、長男の妻(お嫁さん)に自宅の土地建物を残してあげたいと考えて、ご相談にお見えになりました。
弁護士の対応
遺産として、預貯金、ご自宅の土地建物、そして、これとは別に3筆の土地がありますが、その土地の上には長男が宛てたアパートが建っています。
そこで、まず依頼者様の財産をリストアップして、評価額を出しました。それをもとに、推定相続人の孫たち、次男、長女の相続分を計算してみました。計算をすると、長男の妻(お嫁さん)と孫たちに渡す分が多くなりすぎる結果となりました。そこで、いろいろと相談をさせていただき、長男の妻(お嫁さん)と養子縁組をしてもらうことにしました。養子縁組をすることで、相続人の数が増えます。その結果、次男、長女の相続分が3分の1から4分の1に減少することになります。
加えて、預貯金のうち当面使う予定のないものをもとに保険契約をすることにしました。保険金の受取人は、長男の妻(お嫁さん)と孫たちです。預貯金を保険にすることで、遺産分割の対象財産が減ることになります。このようなことをすることで、次男、長女の相続分が減少しました。そして、公正証書遺言を作成しました。
次男、長女から不満が出ないようにするために、遺言書の付言で,長男の妻(お嫁さん)には大変世話になったこと、その感謝の気持ちとして自宅の土地建物を相続させること、相続争いをせずに仲良く暮らして欲しいとのメッセージをいれました。
遺言書に記載しただけでは、やはりもめる可能性もあるので、ご家族で集まる機会を設けて、相続についてのお考えをご自身の口から、次男、長女にきちんと話しておいて欲しいとお願いしました。相続がおこってから遺言書でいきなり知らされるのと事前にご本人の口から説明を聞くのでは、受け止め方が違います。
結果
ご依頼者には、納得のいく遺言書を作成してもらえて、安心した、これで心残りはないとのお言葉をいただきました。その後も、お元気の様子です。